子育てと俳句 vol.02「入賞という、体験」 | 思いを育み、役割を作るえんがわピープルの物語

子育てと俳句 vol.02「入賞という、体験」

執筆:

いぶきからのコメント

うんうん、私たちいぶきのスタッフもおんなじように仲間たちとのお話を楽しんだり、びっくりしたり、誰かに伝えたくてたまらなくなったりしているなぁ…。後藤さんのお話を読みながら、そんなことにあらためて気がついて嬉しくなってしまいました。言葉ってすてきですね。

2016年生まれの6才児と、2019年生まれの3才児と一緒に、家族で俳句を楽しんでいることを好き勝手に書かせてもらっている私の「子育てと俳句」シリーズ。
しばらくはこのシリーズで、日記のように書かせてもらおうかなと思っています。

唐突に「はいく!」と呟き出す兄弟

我が家は、夫と、3才・5才の息子の4人家族です。
夫婦ともに趣味で俳句をかじっていたり、俳句の文具ブランド「句具」を夫婦で運営しているので、子どもたちも「俳句」や「季語」「句会」という言葉を知っています。

6才の長男と3才の次男も、突然「はいく、できた!」と詩のようなものを披露してくれたりします。
私はそれを、ひたすらスマホにメモしている毎日です。

6才長男、はじめての俳句賞応募

長野県上田市で毎年開催されている、幼児から大人までを対象にした文学賞「うえだ七夕文学賞」。
この文学賞に「俳句・園児部門」があることを知り、年長児の長男にピッタリ!と思って応募してみました。

テーマは七夕に合わせて「七夕」「想い」「願い」「希望」「祈り」。

私がいくつかメモしておいた、長男が日々呟いている俳句(100句以上あります)の中から、五七五の音数に割と近いものや、季語が入っているものなどをいくつかピックアップし、長男と一緒に3句選んで投句しました。

投句したのはこちらの3句。

むしくんすずしくなりたくてとんだ (季語:虫/涼し)
つきがみえるのはちょっとくらいから (季語:月)
きゅうきゅうしゃぴーぽーぴーぽーがんばって (季語なし)

なんと、俳句園児部門「優秀賞」を受賞!

そうして応募した作品でしたが、
「つきがみえるのはちょっとくらいから」が見事、俳句園児部門「優秀賞」を受賞。

選考をしてくださったのは、俳人の星野 椿 先生。

俳人・星野立子の長女で「鎌倉虚子立子記念館」の代表をつとめる星野先生。
高濱虚子の孫にあたる、俳句界では知らない人はいない著名俳人です。

そんな星野先生の目に止まったなんて…!と、私としては嬉しすぎる気持ちでいっぱいですが、息子は立派な盾と賞状が相当嬉しかったようで。

受賞者の所属として、通っているこども園も公表されたので、こども園にもご報告。
担任の先生や園長先生にもたっぷり褒めてもらえて、エヘヘととても嬉しそうでした。

まだ小学校に上がる前の息子にとっては、親や家族、園の先生などの身近な大人以外からこうして認めてもらうことってあまりないので、身近な大人から褒められるのとはまたちょっと違った「誇らしさ」みたいなものを見れたような気がしました。

 

息子たちは、こんなふうに俳句をつくってます

ちなみに。
まだ息子たちには「俳句は五七五だよ」とか「季語は、ひとつだけしかダメだよ」というルール的なものを、強制することはしていません。

「季語」という言葉は知っているので、「これはきご?」聞かれれば話しますが、そんなことに縛られずにとにかく自由に、彼らから出てくるそのままの言葉を大切にしたいなと思っています。

彼らの言葉に対して親が無理に季語を斡旋することもしないし、彼らから出てきた言葉をいじったり、改作したり、執拗なアドバイスをしたり…ということは一切しないと決めていて、とにかくそのままの状態をメモして残している感じです。

100句以上ある俳句メモの中には、5音くらいで終わっている俳句もあれば、短歌(31音)よりも長い俳句も存在します。
季語が入っていないものがほとんどですが、中には季語が3つも4つも入っているものもあります(笑)。

でもまだ今はそれでいい。
自由に言葉と戯れてほしいなと思って、私は記録係に徹しています。

先日も、みんなで影踏みをして遊んでいるときに、6才の長男がふとこんなことを言い始めました。

長男「かげ、おもしろーい」「あっ、はいく!できた!」
私「どんな?」
長男「かげにかげはうつらない」「はいく〜!」
私「おっ、いいねえ〜(メモメモ)」

長男「かげって、きご?」
私「かげはきごじゃないなあ」
長男「じゃあね〜(ちょっと考えて)これにする!」

「ふゆのかげかげにかげはうつらない」

一句、素敵な冬の句が完成しました。
こんなふうに、「はいく」を合言葉に、子どもたちと一緒に言葉遊びを楽しんでいます。

子育てと俳句 vol.02「入賞という、体験」 | 思いを育み、役割を作る

この記事を書いた人

子育てと俳句 vol.02「入賞という、体験」 | 思いを育み、役割を作る

後藤麻衣子

ごとう まいこ
株式会社COMULA/コピーライター
岐阜市在住。地元バス会社のバスガイド、地域情報誌編集部を経て、2010年にライターとして独立。現在は工業デザイナーの夫が経営する株式会社COMULAで、商品開発を核にしたブランディングやコピーライティング、広報に携わる。趣味は俳句で、2020年10月に俳句のための文具ブランド「句具」を立ち上げる。蒼海俳句会所属、現代俳句協会会員。「全国俳誌協会 第4回新人賞 特別賞」受賞。2016・2019年生まれの兄弟と夫の4人家族。

お問い合わせ

えんがわスケッチに、
あなたの未来の風景を描きませんか?

とりちゃん やま