2026.04.27
夢なんかなくていいけど、ここにいていいんだよ
- 執筆:
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篠田花子
学童保育や放課後等デイサービスといった小学生中心とした子どもの居場所事業をやってきたヒトノネが、10代の居場所を作ると標榜し始めて3年が経った。
はじめたのが2023年。2018年に開いたヒトノネの子どもたちがちょうど中高生になり始めた頃で、学童を卒業していった子どもたちや近所の中高生がボランティアにきてくれるようになったのが、彼らのことを知るようになった最初のきっかけだった。
2019年の調査で、岐阜市の中学生へとったアンケート「夢や目標はありますか?」という質問に「ある」と答えた子どもの数が全国ワースト1だった。それを見た時に、岐阜市で育った自分を振り返ると、確かにそうかもなぁ、と思ったのも事実だ。岐阜市は(あくまで体感として)保守派が多い。性別役割意識もまだ高い。子どもの時分に「夢や目標があるか」と聞かれても、なんとなく「YES」といいにくいのは、分からんでもない。学力調査での順位は平均以上で、学習塾にかける費用も全国平均以上。いい学校へ行って、有名で安定した就職先に勤めて…と、なんとなく敷かれたレールが子どもたちには見えているのかもしれない。夢と言われても、大人が夢を見ていないから、そりゃ子どもはそうなるなと自省した。
とはいえ、別に夢なんてなくてもいいと思っている。私だって、中学生の頃は1週間おきくらいに将来の夢は変わったし、ぼんやりと「こんなことしたいな」と思うものはあったけれど、もっと目先のことしか考えていなかった。可愛い制服が着たいとか、都会で暮らしたい、とか。高校卒業時に初めて海外旅行でニューヨークに連れて行ってもらった時に、世界はこんなに広くて自由で、いかに自分が知らないことが多くて、あまりに狭い価値観と小さなプライドの中で生きていたのかと驚いた。外国語学部アジア学科に入学して東南アジアを旅したら、道端でごろごろと寝ている人たちがいたり、子どもが戦略的に物乞いをすることにまた衝撃を受けた。この世界はどんなふうだって生きていけるんだなと。気づけば周りの知人も自営業やアーティストが多かったし、就活の時にはみんな一斉にそれらしいスーツを着て面接を受けるのなんて変なの、と思っていた。
なんとかそれらしく生きていければいい。夢なんかなくても。自分はきっと大丈夫、と思えていれば。
平和で安全な日本の中で、子どもたちはもっと小さな世界で単一の価値観の中で生きているから危ういなぁと、20代の頃から考えていた。自分自身も、ご多忙に洩れず10代特有の脆さと危機を経験していたから、10代の身が刻まれるような事件が起きるたびに、そのしんどさが自分のことのような気にもなった。(もうおばさんになってしまったので今はそんなふうには思わないけれど)。もっといろんな価値観や生き様に触れて、楽に生きていけたらいいのに。キャリア教育に興味を持ったのも、そんな原体験があったからだった。

ヒトノネの運営する10代の居場所には実にさまざまな子どもたちがやってくる。生徒会活動をやるようなアクティブな子どももいれば、学校に行ってない子どももいる。外からは見えづらいけれど、様々な事情で家族と一緒に暮らしていない子どもや、学費や衣服費など全部頑張って自分で払っている子どももいる。
ある子どもが「私にはたくさんお母さんがいる」と言った。
確かにヒトノネには、あまりにもお節介すぎる母的存在が何人かいて、その子が「彼氏ができた」といえば、「どこの誰だ、ちゃんとしてるのか」とか聞くし、短すぎるスカートを履いてたら「ショートパンツはきなさい!!」と口うるさい。(もちろん相手によります)
しかし彼女はここに時折顔を出して、自分の実家のようにのんびりしていく。
彼女には、”普通に”生きるには、しんどいことがたくさんある。そこを変えてあげることは私たちにはできないけれど、彼女の人生のなかの休憩ポイントにはなれる。
どんな10代にも、そういう場所は必要だと思っている。
ただ本を読みにくるだけでもいいし、居眠りしておやつを食べて誰かと軽くしゃべって帰る日があってもいい。家でひとりで孤独を感じるくらいならば、ここで暇つぶしをすればいい。それで少しだけ元気になったら、家に帰ってよく眠ろう。
社会人一歩手前の子どもたちが、
社会に巣立っていくまでに
明日は自分の手で変えられるんだ、ということを知ってほしいなと願う。
【クラファンご支援よろしくお願いします】
10代の居場所づくりプロジェクト発起人募集中
https://for-good.net/project/1003274
【マンスリーサポーターはこちらからお願いします】
https://deco-boco.jp/projects/view/97
【ヒトノネラジオも聴いてください】
クリエイターズクラブ(10代の居場所)メンバーの声
https://youtu.be/i3sU-tDHlso?si=VV4hGOR2bjzJxm8i


いぶきからのコメント
篠田さんにはいぶきの物語をたくさん綴っていただいています。
表現しきれない思いを「ことば」にしてくださる大切なパートナーのおひとりです。
一歩踏み出せと背中を押すのではなく
その場をおおう薄いベールをさらりと取りはらい
自然の光のようなやさしいスポットライトをあて
ゆるやかなつながりが生まれる可能性を信じさせてくださる。
今回の居場所づくりは、きっとそんな取り組み。
心地よさをしっている私たちだからこそ、全力で応援したいと思います。