子育てと俳句 vol.01「5才、はじめてのはいく」 | 思いを育み、役割を作るえんがわピープルの物語

子育てと俳句 vol.01「5才、はじめてのはいく」

執筆:

いぶきからのコメント

仲間たちの手仕事の意味を考えるきっかけになったのが第二いぶきの「百々染」。百々染を通じて、私たちは日本中のいろいろなモノづくりの企業や職人さんたちと仲良くなりました。その風景をもっとたくさんの人に伝えられるといいねと短い文章にしてくださったのが後藤さんでした。http://momozome.jp/about.html
同じくえんがわのピープルで寄稿してくださる粥川なつ紀さんと一緒に「りすのほっぺニュースレター」を作ってくださったり。いつもいぶきを目一杯楽しんでくださっています。

はじめまして。 
岐阜県岐阜市でコピーライターをしている、後藤麻衣子と申します。

 

日々、ことばを書く仕事をしている私ですが、仕事とはまったく別の趣味として、俳句を楽しんでいます。 
日々俳句を書いたり、仲間と句会をしたり、ということが好きなのですが、それがきっかけとなって、現在は自社で「句具」という俳句のブランドを立ち上げて運営しています。 

子育てと俳句 vol.01「5才、はじめてのはいく」 | 思いを育み、役割を作る

家族で「はいく」がいつしか定着

我が家は、夫と、3才・5才の息子の4人家族です。 
夫婦ともに趣味で俳句をかじっていたり、句具を夫婦で運営しているのでイベント出店に家族揃って出かけたり、日常会話の中でもふと季語が出てきたりするので、「俳句」や「季語」「句会」という言葉が頻出する、ちょっと変わった家なのかもしれません。 


 

自宅のリビングでzoomを立ち上げると、5才の長男が「カッカ、なにが始まるの?くかい?」と聞いてきます(笑)。 
長男は、言葉が巧みに話せるようになるといつしか、俳句(のようなもの)を呟くようになりました。 

5才児の、はじめてのはいく

5才になったばかりの冬、希望通りのプレゼントをくれたサンタさんへお手紙を書きました。 

 

 

「さんたさんとどけてくれてありがとう」 
勉強中のひらがなを、見よう見真似で書いた手紙。 

 

がんばったね、とひとしきり褒めたあと、575になっていることに気づいた私が「これ、575だね。サンタは冬の季語だから、俳句になってる〜!」と言うと、偶然ながら俳句ができたことにとても満足な様子でした。 

後日、お風呂に入っているときに長男が指折り数えながら「はいくは、いくつ(文字数のこと)なの?」と聞いてきてくれました。 

「俳句は575だよ。例えば『かっこいい はたらくくるま しょうぼうしゃ』だと、575だね」と言ってみたら、湯船に浸かりながら何度も指折り数えて、やがて「できた!」と。 

「パトカーなら やれるよ」 

まさかの、575にはほど遠い音数でしたが、長男が自発的につくった、はじめての俳句が完成しました(めちゃくちゃ褒めました)。 

 

ハイキングイベント「俳句ハイク」に参加!

その後、とあるハイキングイベントに家族で参加することになり、長男と一緒にハイキングをしながら俳句をつくる、という経験をしました。 

 

 

 

 

 

大人でもどっと疲れてしまうほどの、なかなかハードなコースでしたが、歩き切ったメンバー全員で、つくった俳句をずらりと並べて句会を開催。 

そこで、長男がつくった俳句がいくつか票を集め、先生からもたっぷり褒めていただき、特別賞として金メダルをいただきました。 

 

 

キラキラの金メダルに、大喜びの長男。 

帰ってきて、宝箱に入れて大事そうに眺めていました。 

みんなの前で、大いに褒めてくれた先生にも感謝です。 

「はいく」や「きご」のおかげで

こども園からの帰り道、忠節橋から眺める夕焼け空を見ながら、一句。 

“そらがきれいでいいね よるのゆうやけ” 

 

雨が降り続く庭を眺めながら、一句。 

“あめのふうせん あめでわれるよ” 

 

うどんを食べ終わって、一句。 

“ちゅるっとおとがなるよ なつのうどん” 

 

大好きなぶどうを食べながら、一句。 

“ぶどうめくるよ めくってぷつっとたべる” 

 

575という音数や、「季語をひとつだけ入れる」というルールも、まだしっかり教えてはいません。 
それでも私たちの真似をして、ただただ思ったことを呟き、「はいく、できた!」と報告してくれる長男。
そうやって呟く言葉が、なんとなく詩的なのがまた面白いです。
 
野菜や果物を食べながら、「これって、きご?」と聞いてきてくれるのも、会話が広がってとても楽しい。 
最近はそれを真似してなのか、3才の次男も宇宙語のような言葉を発しながら「はいく〜」と、なにやら俳句みたいなものを呟いています(笑)。 

 

雨が降ってきたり、夕焼けが綺麗だったり、不思議な形の雲がいたりすると、一番に気づいて嬉しそうに教えてくれる子どもたちを見ていると、子育ての一片に「俳句」というものがあってよかったな、と思う日々です。 

 

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この記事を書いた人

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後藤麻衣子

ごとう まいこ
株式会社COMULA/コピーライター
岐阜市在住。地元バス会社のバスガイド、地域情報誌編集部を経て、2010年にライターとして独立。現在は工業デザイナーの夫が経営する株式会社COMULAで、商品開発を核にしたブランディングやコピーライティング、広報に携わる。趣味は俳句で、2020年10月に俳句のための文具ブランド「句具」を立ち上げる。蒼海俳句会所属、現代俳句協会会員。「全国俳誌協会 第4回新人賞 特別賞」受賞。2016・2019年生まれの兄弟と夫の4人家族。

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