百々染だより Vol.21~Vol.30 | 思いを育み、役割を作るえんがわのプロジェクト

百々染だより Vol.21~Vol.30

執筆:

いぶきからのコメント

色や質感で選ぶのもいいけれど、染料のもととなった植物や、染められた季節、その日の天気や、作り手の表情からも選んでほしい。
同じものは存在しない百々染だからこそ、百々染をとりまくさまざまな「ことがら」や「人柄」から、あなただけの特別な一枚を見つけてください。

夏を感じる朝顔 Vol.21

夏の風物詩として知られる花のひとつ、朝顔。

朝顔は、奈良時代に中国から薬として
日本にわたってきたと考えられています。

その種は「牽牛子」(けんごし)とよばれ
薄青色の花をつける朝顔が育ちます。

この青い花を咲かせる朝顔の中から
白い花をつける朝顔があらわれたのは
江戸時代以前といわれています。

白い花の出現は突然変異によるもので
この頃から薬用植物としてだけではなく
園芸植物としても栽培されるようになりました。

江戸時代には多くの人々を魅了するほどの大流行が起き
薄紫、紅、紺などの花色が次々にあらわれ
現在みられるようないろいろな花色の朝顔がでそろいました。

今私たちが見ている変化にとんだ様々な朝顔の花の色は
長い年月をかけて一種類の青い朝顔から作り出されたものなのです。

朝の顔と書いて〝朝顔〟
その名の通り
朝起きる頃の時間帯にはきれいな花を咲かせています。

そんな朝顔
「いつ咲いているのだろう?」と疑問に思う方も少なくないはず。

実は朝顔の開花は日の出ではなく
日没と関係があり
開花時刻は日没から10時間後頃です。

そのため、季節によって開花時刻が異なりますが
どの季節でも夜明け前には咲いていることになります。

10時間じっくり睡眠をして開花する朝顔は
とっても早起きで健康的な花です。

百々染の工房では
庭に咲いた花をスタッフが摘んで持ちよっています。

また、ときには地域の方から頂くことも。

少しずつ集めた花びらは酢と塩でもみこみ
時間をかけて染液にします。

色とりどりの花を咲かせる朝顔の花びら。

その顔はいつも優しく
微笑んでくれているようにも見えますが
どこか力強さも感じます。

紅色の花びらや青色の花びらからできる染液は
しっかりとした力強いピンク色になりました。

そんな染液にストールを入れ
じっくりじっくり染めていくと
真っ白な生地が朝顔の自然のもつ優しい色合いに染まっていきます。

6月初旬、朝顔の染液で染めたストール。

天気のよかったこの日は
だんだんと夏の訪れを感じる暑さになりました。

そんな日の染めは
ちょっぴり夏を先取りした気分になりました。

みなさんも、朝顔のストールで
夏の爽やかな朝の風を感じてみませんか?

(文/こまつ)

敬老の日に送りたい、記念日や誕生日のストール Vol.22

今年の敬老の日は、9月19日。

いつも優しい眼差しであなたを見守ってくれている
おじいちゃんやおばあちゃんに
百々染ストールのプレゼントしてみてはいかがですか?

おばあちゃんの好きな花で染めた色や
おじいちゃんに似合いそうな色で選ぶのも素敵ですが
“誕生日に染めた”
世界で一本のストールを選んでみるのもおすすめです。

「その日を染める」

おばあちゃんの誕生日や
おじいちゃんとの結婚記念日から
一度探してみてください。

きっと、贈りたい人にぴったりの色が見つかるはずです。

世界でたった1枚のストールに
「いつもありがとう、これからも元気で長生きしてね」
という気持ちを込めて
メッセージを添えてプレゼントしてみてはいかがでしょうか。

いぶきと僕と百々染と/作り手・安藤幹生 Vol.23


僕は、安藤幹生といいます。

僕は5年前まで
「いきなり団子」という商品をつくるグループにいました。

団子をつくるためのサツマイモを洗って皮
むきをするという仕事をしていました。

団子をつくるチームもありましたが僕
には団子を丸める仕事は難しくてできなかったんです。

ある日、イモの皮むきだけじゃつまらなくなって
団子づくりの工房を抜け出し隣の工房に顔をだしました。

それが染めとの出会いでした。

その時はまだ
「百々染」という名前ではなかったのですが
寸胴に染液を入れ
下処理をした綿のハンカチを15枚ぐらい入れて
棒でかき混ぜる。

ただそれだけでどんどん染まっていって
変化していくのが楽しかったのを憶えています。

それから5年
今ではシルクストールを染める担当をしています。

僕が一番気をつけているのは
生地が傷まないように両手で優しくやさしく染めること。

また、染料の入った液と
媒染液を入れ替えるときに
ムラにならないように液にストールを入れたら
丁寧に広げて染めることにも気をつけています。

染める作業ばかりでなはく
ときには、公園に出かけて花をもらってきたり
染め体験のワークショップの先生をしたりと
緊張することもあるけど、毎日楽しく仕事をしています。

人とお話しすることが好きな僕は
たくさんの人とつながれる、この仕事が好きです。

それに、中日ドラゴンズが負けて悔しい時も
サザエさんにじゃんけんで勝って嬉しい時も
話を聞いてくれる仲間たちに囲まれているこの工房は
ぼくにとって大切な居場所です。

今日は、僕が染めた
おすすめのストールたちを紹介します。

一本目は、夏の暑い日に
吉田さんと一緒に息を合わせて染め上げたストールです。

藍の余分な染液を
しっかりと水で流しておくことで
色移りを少なくさせます。

「せーの」と掛け声を合わせて勢いよく水を流すのが
僕も吉田さんも大得意。
一緒に楽しく染め上げた、夏の青色のストールです。

二本目は今年の8月4日に
レモンバームで染めたストールです。

この日は、レモンバームのいい香りがリラックスさせてくれて
穏やかな気持ちで染め上げることができました。

僕は、染めながら思わず
「レモンバーム♪」と口ずさんでいました。

やさしい黄色に染めあがりました。

三本目は、今年の8月16日にもちの木の葉で染めたストールです。

お盆の休み明け一日目で
みんなと話したいことがいっぱいあったけど
それと同じぐらい仕事をするのも楽しみだったので
集中して染めることができました。

「黄色に染めあがるのかな?」って思っていたけど
少し緑色がかった色になってビックリしました。

まわりのみんなから「いい色だね!」って褒められた
自信の一本です。

どのストールもみんなとつながって楽しく
そして「きれいに染まるように」と気持ちを込めて染めました。

一緒に楽しい気持ちになってくれたらうれしいです。

(文/あんどう)

 

秋の訪れを告げるくさぎの実 Vol.24

百々染工房では
「くさぎ」という植物を使って青色のストールを染めています。植物など天然の素材を用いる草木染めで
青色が出る植物は少ないのですが
その中でもくさぎは鮮やかな青色になる貴重な植物のひとつ。

また、比較的採取しやすい場所に咲いているので
百々染工房では青色のストールを染めたいときに
くさぎを使うことが多いです。

一見聞き慣れない「くさぎ」という名前ですが
道端で探すと、よく咲いている植物です。

特徴は、葉っぱが大きいこと。
長い葉柄を含めると、30センチにもなります。
柔らかく、葉に触ると独特の臭いがすることから
「くさぎ」という名前がついたそうです。

花は8月頃に咲き、10月頃に果実が実ります。

また、茹でたり蒸したりすることにより
独特な異臭がなくなるので、料理にも使われているそうです。

一部の地域では
煮物に使ったり炒め物に入れたりと
いろいろな料理で活躍しています。

百々染工房で働く作り手のなかでも
材料を調達している「摘む」グループは
一年を通して公園などに散歩に出かけ
植物を摘んでくるのが仕事です。

くさぎのストールは
集めた実から染料を作るので
たくさんの実が必要です。

8月から9月にかけてくさぎの花が咲き実をつけるため
花が咲く頃を目印にして採取をします。

特に9月下旬から10月は多く実がなるため
「摘む」グループの作り手たちは
毎年この頃にたくさんのくさぎを摘んできてくれます。

これは岐阜県岐阜市から隣の高富市にある
「伊自良湖」へ続く細い道に実ったくさぎを摘んでいる写真です。

以前、散歩中に赤い花を見つけたことがあり
改めてくさぎの実を採りに出かけました。

スタッフが採ったくさぎを
作り手たちが袋に詰めてくれています。

大きな袋いっぱいにたくさん入ったくさぎを見て
思わず笑みがこぼれました。

後日のコラムで
収穫したくさぎが
実際にストールになるまでをご紹介します。

くさぎの実が青いストールになるまでの過程をお楽しみください。

(文/やじま)

甘酸っぱい香り感じるベリー&ベリー Vol.25

♪夕焼け小焼けの 赤とんぼ

 追われてみたのは いつの日か 山の畑の 桑の実を

 小籠に摘んだのは まぼろしか

秋になると口ずさみたくなる、日本の童謡「赤とんぼ」
この曲にでてくる「桑の実」は
別名「マルベリー」と呼ばれます。

ラズベリーに似た果実で
甘酸っぱく生のままでも食べられますが
ジャムやお酒に加工して楽しまれています。

日本では鎌倉時代に
不老長寿の薬として「桑」が伝えられました。

陰干しした桑の葉がお茶として飲まれ
当時から高血圧や糖尿病
咳止めに効く健康茶として飲まれていたと言われていて
その万能な効果から
「神仙茶」とも呼ばれていたほどです。

また、高い抗酸化作用で知られる色素
アントシアニンをはじめとする
ポリフェノールを多く含有していています。

現在、桑の葉の研究は盛んに行われ
ダイエットから生活習慣病の予防まで
さまざまな効果が注目されているそうです。

ところで「桑』の品種数は100以上あり
日本人に馴染みがある
「ヤマグワ」
「カラヤマグワ」
「ログワ」
の3種類は
カイコの飼料として古くから栽培されています。

春に淡黄色の花が咲き
初夏には赤い実をつけて黒紫色に熟します。

では、百々染の工房では
この桑の実をどのように染めているのかみてみましょう。

鮮やかな色のストールを染めるのが大好きな前川さん。

果実をそのまま絞ったような濃い染液に
いつもに増して笑顔があふれていました。

古くより馴染み深い桑の実
目にする機会も減ってきましたが
ご年配の方にとっては
思い出深い木の実だったりするのではないでしょうか?

そして今回
“ベリー”つながりで
もうひとつ紹介したいものがあります。

この紫色のストール
なにで染めたかわかりますか?

実は、ちぎり手の土田さんの
自宅で実ったブルーベリーなんです。

「ぜひ百々染で染めてみてください!」

と、工房に持ってきてくださいました。

果実から染めるストールは
「いい香りだね~」
「すごく濃い色になったね!」
と、香りや鮮やかな色を楽しみながら染めています。

果実ならではの
植物とはひとあじ違う楽しさがあり
作り手にとても人気があります。

マルベリーにブルーベリー
どちらもこっくり染まった甘酸っぱい果実の色。

ぜひ手に取って秋を感じてみませんか?

(文/かに)

あおいろのバトン Vol.26

以前『秋の訪れを告げるくさぎの実』と題して
くさぎのストールについてのコラムをご紹介しましたが
今回はその続編。

くさぎのストールができるまでをお伝えしたいと思います。

「摘む」グループの作り手が採ってきた
たくさんのくさぎが集まりました。

ここから青い実だけを取る
「ちぎる」グループの作り手にバトンが渡ります。

くさぎの実を使って染液を作るのですが
この「ちぎる」工程がとても大切です。

細かい作業ですが
ひとつひとつ丁寧に手作業で実を取っていきます。

枝やガクが入ってしまうと
いい色が出ないからです。

1日でできる量は、だいたいこれぐらい。

この作業を何日も何日も繰り返し
実をたくさん貯めていきます。

今回は3日分の実を使って
染液を作ることになりました。

くさぎの実を煮出すと
緑がかった鮮やかな青色の染液ができます。

これでやっと「染める」グループの作り手へ
バトンが渡されるのです。

さて、これまでの「摘む」「ちぎる」グループから
次はいよいよ「染める」グループの作り手へ。

本来、草木染めには色素を定着させる
媒染(ばいせん)という工程が必要なのですが
このくさぎの場合は、媒染は要りません。

くさぎの実には色素を定着させる成分が入っているからです。

本当に、染めの世界は奥が深いです。

また、自然の草木で青系の素材は大変貴重で
藍やログウッドもあるのですが
身近にあるものではこのくさぎしかありません。

青色のストールは、とても人気があります。

ですので、くさぎが実をつける季節になると
百々染工房では総力を挙げて
くさぎのストールを染めるのです。

山際に咲いているくさぎを
「摘む」ところから始まり
ひとつひとつ実を「ちぎる」作業を経て
大事な染液で「染める」

そして、最後は「身につける」

今年も、この季節の
“あおいろのバトン” を
受け取ってくれる方に出会えるよう、願っています。

(文/たけごし)

秋桜~コスモスの魅力を感じながら~ Vol.27

 

みなさん、突然ですが
『ウルトラマンコスモス』とは何のことかご存じですか?

『ウルトラマンコスモス』とは
2001年から2002年にかけて放映されたテレビ番組で
作中に登場したヒーローの名前です。

キャッチフレーズは
〝強さと優しさを兼ねそなえたウルトラマン〟

そんな戦隊ヒーローのウルトラマンコスモスの〝コスモス〟は
ギリシャ語の〝kosmos〟からきています。

ギリシャ語の〝kosmos〟は
美しさ、調和、宇宙などという意味を持つ言葉。

宇宙を守る優しいウルトラマンにはぴったりの名前ですね。

今回の特集は
その『ウルトラマンコスモス』の語源でもあり
かわいらしい花を咲かせるコスモスについて紹介したいと思います。

「コスモスはキク科コスモス属の総称で
日本では「秋桜」とも表現されます。

秋になると公園や田んぼ
道路わきに咲いているのを見かける場面も多いですよね。

日本人にとって馴染み深いコスモスですが
実は、日本から遠く離れたメキシコがふるさとです。

赤道に近いメキシコには
日本のようにはっきりとした四季はありませんが
日本と同じように秋に咲きます。

そんなコスモス
世界にはなんと26種類ものコスモスがありますが
日本で目にすることができるのは4種類だけ。

中でも特に見かけるのが夏から秋にかけて咲き続ける
黄色い花の「キバナコスモス」と
秋にピンク色の花を咲かせるコスモスです。

キバナコスモスには
『野性的な美しさ・自然美・幼い恋心』という花言葉があり
ピンク色のコスモスには『乙女の純潔』という花言葉があります。

百々染工房では、ピンク色のコスモスは茎を細かくし
煮出しという染め方で染めています。

キバナコスモスの場合は花びらのみを使い
これも煮出して染めています。

同じコスモスでも
それぞれ適した方法で染めるため
その方法も少しずつ変わるのです。

また、花びらをちぎる人茎
を細かくちぎる人
染め方が変わるように
作り手もそれぞれに分かれて仕事をしています。

ピンク色の花の茎で染め上げたストールは
優しい黄色のストールに
キバナコスで染め上げたストールは
秋の優しさが感じられるオレンジ色に染まりました。

みなさんもシーンに合わせて
コスモスのストールを身にまとってみてはいかがですか?

(文/こまつ)

百々染のシゴト 色の秘訣 Vol.28

百々染ストールは
いろいろな人とつながって作られています。

このストールが
作り上げられる風景というのは実に多様。

草木をとってくる人、
細かくちぎる人、煮だす人
お湯を汲む人、布を浸す人
干す人、写真を撮る人、それから…。

百々染工房で働く仲間たちの
“好きなこと”が
こうして“シゴト”になっていきます。

たとえば、紙をちぎることが好きな仲間が
葉っぱや花びらを細かくちぎったり
水を眺めるのが好きな仲間が
ストールを染めながら光に反射するキラキラした染液を眺めたり。

自分の“好きなこと”が
“得意な作業”となり
ストールを染め上げるまでに必要な工程の一つを担います。

どれが欠けてもストールを完成させることができない
大切な“役割”なのです。

その工程のひとつ
「ちぎる」ことに
百々染の色の秘訣があります。

「ちぎることが得意な土田さん。

枝から葉っぱをとって、葉と茎を分けています。
自分の手元に真剣なまなざしを送りながら
1枚1枚丁寧に…。

この選り分ける作業こそが、あたたかく
やさしい色を生み出すために欠かせない工程です。

彼女が集中できる時間は短いですが
その短い時間にたくさんの葉っぱをちぎってくれます。

彼女の手のひらの中で
原料となる葉はどんどん細かくなるのです。

こちらは
細かくちぎって生み出された百々染の染液。

ここで、煮出した染液でストールを染める担当にバトンタッチします。
ストールにやさしい色が入ります。

こうやって、毎日数本ずつ
丁寧に百々染ストールを染め上げています。

やさしく、あたたかい色で染め上げたストールたちを
少しばかり、ご紹介します。

(文/やまもと)

“我が家のサンタさん”に、ありがとうを贈ろう Vol.29

子どもの頃、クリスマスの朝に目覚めると
枕元にプレゼントが置いてありました。

サンタクロースはいつの間に来たのだろう。
なぜ、自分の欲しいものがわかったのだろう。

そんな不思議でとびきり嬉しい体験をさせてくれたサンタさんへ

今年は「ありがとう」の気持ちを込めて
クリスマスプレゼントを贈りませんか?

「染めた日」からも選べる百々染は
両親の誕生日や結婚記念日など
大切な人の大切な記念日にちなんだ贈りものができます。

箱を開けると手染めのシルクストールとともに
日にちが書かれたDay Cardが封入されています。

染めた日のこと、染め手のこと
素材となる草木や実のこと。

そんなストーリーとともに
その日にしか生まれなかった
特別な“色”を贈ることができます。

世界に1枚しかない百々染で
サプライズな贈りものをしてみませんか?

百々染工房の裏舞台に立つ希少な材料 Vol.30

外を歩いていると寒さで息が白くなり
だんだんと冬に近づいてきましたね。

植物も役目を終え、次の春に備え休憩する時期です。

今回は百々染工房の表舞台に立つことが少ない
めずらしい花や植物をご紹介していきます。

1つめは「タラの芽の花」です。

タラの芽とはタラノキの新芽の部分です。

みなさんご存知の通り
タラの芽は新芽の部分を山菜として食用とします。

ほのかな苦みや
もっちりとした食感があり
てんぷらなどで人気の食材です。

山菜の中でも、王様と言われています。

タラノキは全国の山野に自生していますが
栽培が進んだことで、山に生えている天然のタラノキは少なくなりました。

タラの芽の花は
塩と酢を使って色を抽出します。

タラノキの花は白色ですが
花が落ち緑色の芽が顔を出し
鮮やかな紫色に変化します。

百々染では
その鮮やかな紫色の染料を使って
深みのあるストールを作りだしています。

2つめは「グラジオラス」です。

別名、唐菖蒲(トウショウブ)と呼ばれているグラジオラスは
葉の形が剣に類似している事から
古代ローマの剣である「グラディウス」に由来しています。

その力強さから
花ことばは「勝利」を表します。

日本のグラジオラスには自生種はなく
園芸植物として植えられています。

そのため、百々染工房では
球根の状態のグラジオラスから育てて染めに使っています。

3つめは「サクランボの枝」です。

サクランボは、7月~8月の時期に美味しい赤い実をつけます。
味も格別ですが、丸いフォルムはどこか可愛らしさがあります。
そんな可愛らしさから
ゆるキャラとして活躍している姿をお見かけすると思います。

赤くて可愛らしい
「実」に目が行きがちのサクランボですが
百々染工房では「枝」を材料にストールを染めました。

手に入りにくいサクランボの枝ですが
今回は染め手のご家族から頂くことができました。

枝から抽出する染液は茶色になりがちですが
サクランボの枝は赤茶色に近く
明るさもあり、どこか優しさを感じます。

この写真は工藤さんが
サクランボの枝で染めているところです。

この真剣な表情から
どんな色に染まるのか期待する気持ちが伝わってきます。

こうした希少な材料から取れる染料は少なく
染められるストールの本数も少ないです。

作り手たちの想いがあり
貴重な材料から染めあげたストールを
是非お手元においてみてはいかがでしょうか。

(文/やじま)

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百々染だより Vol.21~Vol.30 | 思いを育み、役割を作る

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