2026.11.03
秋空のいちごかき氷
- 執筆:
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篠田花子
初めましてのTrick or Treat
木曜日、いぶき福祉会さんのほとりにお邪魔した。
フリースクールふらっとの加藤さんが岐阜ハッピーハッピープロジェクトに参画いただけるとのことで、北川さんと加藤さんと3人でよもやま話を。
ほとりに行くと、この秋空の下でかき氷がまだ売っていた。
「今年はこれで最後です」と言われたら食べるしかない。いぶきさんが作っているゴロゴロのいちごジャムがたっぷりのったかき氷。これは毎年ヒトノネの夏休みにいぶきさんがかき氷屋さんとしてやってきてくださるときのお楽しみの一品。スタッフのみんなにずるーいと言われるだろうなと思って「ごめんね」と心の中で呟きながらいただいた。何度食べても美味しい。
かき氷を待つ間に下校中の子どもたちが寄ってきた。
何かと思えば、そりゃそうか。こんな大きなパンプキンが出てるんだもの。寄ってくるほかはない。Trick or Treat!!近所の子たちは今日はほとりで何かがあるって知っていて、「今日はハロウィンやるんでしょ!?」とランドセルを置きに戻る前に一旦何があるかを覗きにきたらしい。寄ってきた子どもたちにいぶきさんのスタッフが「おかえり〜今日はなんで早いの?」と声をかける。もう一刻も早くランドセルを置いて戻りたい子どもたちは、駆け足ながら遠くから「今日はせんせーたちのじゅぎょうがあるのー!」と叫んでいた。
加藤さんが到着して、北川さんにご紹介した。「今日は下校が早いみたいで子どもたちがたくさんきてるんですよ。ここ作ったら、いつの間にかこんな感じになっちゃって」と北川さんが笑いながらいう。私はこの風景を見慣れているけれど、そういえば初めてほとりに来た加藤さんにとっては、障害福祉事業所にやってくるつもりで来たらこんなに子どもがいて、しかも紹介するって言った私はもうかき氷を食べ尽くそうとしていたんだからきっと驚いただろう。ほとり&日光の家はそういう町のリビングのような場所なのだ。

ほとりは、いぶきさんの商品や、子どもが喜ぶ駄菓子も売ってます。
ばあちゃんちとファンキーなお兄ちゃん
誘われるままに加藤さんもかき氷を注文して、2階の部屋に通してもらった。「なんかばぁちゃんちに帰ってきた感じですね」と加藤さんが言う。確かに2階にあがる階段の傾斜といい、調度品やカーテンがなんとも昭和のおばぁちゃんちだ。その日は天気も良くて、応接として使われている南の角部屋は、猫だったらここで日向ぼっこをするだろうというくらいにとても気持ちの良い陽がさしていた。
「花子さんからはなかなか面白いご紹介を受けていて」と北川さんが口火を切ったのだけど、そういえば私は北川さんに「見た目はファンキーなお兄ちゃんだけど、中身はほんとに熱いいい人です」と加藤さんのことを紹介していた。確かに北川さんの目の前にいる人物は、青い縁の丸眼鏡(自分でも「息子からお父さんミニオンやんと言われた」と言っていたが)で髭を生やした”ファンキーなお兄ちゃん”意外の表現は見当たらない。めちゃくちゃ恐縮した感じの加藤さんはそれを聞いてちょっと安心したらしい。「確かにこんな感じで、さらにほんとに口は悪いっす」と言って笑った。
それから北川さんと私は、ひとしきり加藤さんの話を聞いた。私が知る限り、加藤さんは岐阜で一番長く”フリースクール”を経営してきて不登校児のことを最もよく知る実践者だ。私自身も子どもの事業をおこなっているので、そのご苦労は想像に難くないし、はっきりいってフリースクールを11年もやってきたなんてのは尋常じゃない意地があるか変態としか思えない。そんな加藤さんから語られたのは、子どもたち一人一人の変化や、卒業生の子たちの活躍。加藤さんと会うたびに印象深いのは、いつも加藤さんは誰かの具体的なエピソードを語るのだ。「お山の方(本巣にあるふらっとさんの拠点)にいくために子どもたちはじゃんけんして車かバスかを選ぶんだけど、体験の子が来た時にも奴らは容赦しないんですよ。体験の子が負けちゃっても譲ってはあげない。あいつらほんとに・・」という加藤さんの言葉からは、子どもたちの生々しい生きる力を感じるし、なんかそういうのも許しあってやっていこうよというふらっとさんの寛容さみたいなものも感じる。いろんなエピソードを聞いた後に北川さんが「加藤さん、それはもう漫画にした方がいいですよ。花子さん、誰か漫画描ける人いないかなぁ」と加藤さんに提案した。ほんとだ!これはもう漫画にした方がいい!!と私も同意した。
「そう言えば…」と私は最近読んでおもしろかった漫画を紹介した。『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常 記憶に残らない個人の記憶をたどる』(KADOKAWA)というケアマネ視点の高齢者介護の日常を面白おかしく綴ってある漫画だ。実はこれ、私がヒトノネで起こるあれこれを知人に話したときに、こんな漫画作ったら?と紹介してもらった本だった。
「やべー子どもたちばかり相手にしているフリースクールの日常、って作ったら怒られそうやけど!!」と加藤さんは苦笑い。だけど、本当にいつかこんなのを作りたい。こんなふうに子どもたちの、いろいろあるけどそれでも逞しく成長をしていく日々を沢山の人に届けられたら、一緒になって子どもたちを支えてくれる人が増えるんじゃないかとも思う。(いつかやりましょうね、加藤さん)
ハッピーハッピーな関係にしたい
最後に北川さんから、どうして”ハッピーハッピー”と言う名前にしたか、誰かが勝つ負けるウィンウィンじゃなくて、一緒にやっていくことが重要だ、と話をしてもらった。支援する(寄付する)、支援される(寄付される)と言う関係ではなくて、関わることでお互いに良いことが生まれるんだと。私もそう思っている。子どもたちの現場は私たちが第一線で関わるけれど、そこにさまざまな方法で加担してもらいたい。そのことで、もしかしたら社員の気持ちに変化が生まれるかもしれないし、顧客からの眼差しも変わるかもしれない。共感の先に、寄付というお金やボランティアや物品などの経営資源があるのだ。だから私たちは、現場で起こっていることを伝えていく必要がある。子どもたちも、仲間も、支えられる側の人ではなくて、誰かを支えている人たちだということを。
いぶき福祉会さんたちは、それをずーっと実践していて、私はそれをとにかく真似して追っかけている。絶対にこの志す先がいい世界になると信じている。
2時間ほどおしゃべりをしている間に、ほとりではハロウィンの菓子撒きがあってあちこちからいぶきの仲間も子どももやってきて大賑わいだったようだ。お面を被ったスタッフさんたちが、一番楽しそうだった。誰も置いてけぼりにならないような日々を私も一緒に作りたい。



いぶきからのコメント
ほとりがひらく毎週木曜日と金曜日は、私にとっては出会いの日。
この日もヒトノネの篠田さんが、また素敵な方を連れてきてくださりました。
「出会ったのはほとりでしたよね」が合言葉になりつつあります。
私だけでなく、もっともっとたくさんの方の合言葉になりそうです。
篠田さんにとっても。そして、毎日のようにくる子どもたちにとっても。
さて、今年のほとりのかき氷は10月末でおしまいになりました。
また来年をお楽しみになさっていてください。