百々染を「知る」 | 思いを育み、役割を作るえんがわのプロジェクト

百々染を「知る」

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「百々染」とは

桜吹雪の中を歩いた、穏やかな春の日。
雨上がりの蒸し暑さに、額の汗が滲む日。
二人でストールを洗った、暑い夏の日。
台風一過、気の抜けるような晴れた日。
粧う山のごとく、鮮やかに染める秋の日。
降り積もる粉雪の中に色を見つけた冬の日。
吐く息の白さと流水の鋭さに、凍える日。

見たことのない色に染めあがった日。

自然あふれる岐阜の山すそで
一枚ずつ丁寧に手染めする「百々染」。

化学染料を使わず、
植物の声に素直に応えるように、
ゆっくりと、やさしく染め上げています。

ゆるやかに移りゆく、日本の季節と、
四季の訪れを告げるように顔を出す植物たち。
毎日肌で感じる、その日の気候や温度。
そして、つくり手たちのまっすぐな瞳と穏やかな心。

何気ない日常が絡み合うことで、
奥深くてやさしい、美しい色が生まれるのです。

百々染が、百々染である理由そのもの。

自然と、季節と、つくり手が
絡み合うことで生まれる色。
時を染める、世界にただひとつの色彩。

それが、百々染です。

商品案内

◎自然に素直に染める、シルクストール

百々染は、化学染料を使っていません。

世の中にはたくさんの「染めもの」があります。
中には、植物の力に化学染料もうまく併用することにより
発色をコントロールし
仕上がりの色を安定させているものもあります。

百々染は、化学染料を使わないため
同じ色のストールは1枚も存在しません。

ですが、私たちは
それこそが、百々染の魅力だと思っています。

「ピンク色のストールを作るために」と
計算し尽くして染液をつくるわけではありません。
移り変わる季節、過ぎていく季節の色を少しだけ切り取って
自然の色をそのまま布に閉じ込めているのです。

◎ひとときを、たったひとつの色に閉じ込めて。

草木や花、実由来の鮮やかさだけでなく、
その日の天候や、気温、湿度も色を決める条件のひとつ。

晴れた日と雨の日では
同じ植物でもなんだか少し表情がかわります。

季節の一片を切り取るように
季節の終わりを惜しむように
ひとつひとつ正直に丁寧に染め上げています。

さらに
あの人が染めたらやさしい色に染まったけれど、
この人が染めたら元気な色に染まった
なんてこともあります。

何気ない日常が重なり合うことで
奥深くやさしい、美しい
世界にひとつだけの色彩が生まれるのです。

◎やわらかくて心地良い、シルクの肌触り。



日本製の上質な生地を使って
1枚ずつ丁寧に染め上げるシルクのストール。
パールのような輝きを放つシルク生地は
日本の機屋で織っています。

シルク特有の、高貴で優雅な表情です。
カジュアルなスタイルに一枚プラスするだけで
ぐんと明るいコーディネートに。
ドレッシーなスタイルのポイント使いにもぴったりです。

  • サテン

繻子織りを用いた織物の一種で
美しい光沢が特徴です。
生地由来の光沢でキラリと輝く上品な色に染め上がります。

  • ジョーゼット

薄くて軽い、ちりめんの一種。
透明感のある柔らかな手触りとしなやかで美しいひだが
軽やかな装いとの相性も抜群。

  • 楊柳

川の流れのような細かな経シワが入った織物。
自然の凸凹により肌に触れる面積が少なく
夏でも身につけられます。

◎百々染ができるまで



  • 摘む

自然あふれる山あいの里、岐阜。
「第二いぶき」の周辺に咲く花や
木の枝、草など、周辺で採集した植物を使って
百々染を染めています。

同じ施設内で製造する自然派ジャム
「りすのほっぺ」の製造工程で出た果実の皮や実を使ったり
農家さんからゆずりうけた野菜や果物が活躍したりと
百々染の素材の出身地はさまざまです。

  • ちぎる

木の枝と葉を細かく分別したり
色が出やすいように葉や花びらをちぎったり。

美しい色を出すために大切なこの工程も
百々染のつくり手たちがひとつずつ丁寧に行っています。

葉っぱ一枚、花びら一枚が分別されることによって
植物の素直な色に出会えるのです。
彼らの丁寧な手作業があってこそ
曇りのない美しい色をつくり出すのです。

  • 染める

分別した草木を使って、コトコトと染液を煮出したり
花びらに酢と塩を加えて花の色素を出したりと
植物によってそれぞれ異なる方法で染液を作ります。

染液に浸けたら、媒染液で色を染着・発色させ
さらに濃度を濃くした染液で染めて…。

この地道な作業を4回以上繰り返します。
さらに翌日に色を重ねることも。

すべて1枚ずつ、丁寧に、
色を何層にも重ねて鮮やかにしていくようなイメージで
染め上げているのです。

花や実の色が映し出されるストールもあれば、
くすんだ枝の色から想像もしないような穏やかな色になることもあります。

自然の中に見え隠れしている色を
つくり手たちの手によって丁寧に
1枚の布へと伝えているのです。

◎贈り物にしたい、この日だけの百々染。

百々染は、いつ、どんな植物で
誰が染めたのかを
ストール1枚ずつに記載しています。

「敬老の日は、1月23日生まれの母親に
誕生日に染めたストールを贈ろう」

「ふたりの結婚記念日に染めたストールを、妻に贈ろう」

「誕生日のプレゼントは、その日に染めたストールにしてみよう」

そんな贈り方ができるのも、百々染ならではです。

贈られた人にもその驚きと喜びを実感していただくために
箱におさめたシルクストールとともに
日にちを印字したその日だけの
「Day Card」を封入しています。

染めた植物のこと。
その日のこと。
どんな光景の中で
そのストールが染められたのか…などが記されています。

贈る方も贈られる方も嬉しくなる
そんなサプライズをお届けします。

百々染の故郷

◎自然の恵みに満ちた山あいの里、岐阜。

百々染のふるさとは、山紫水明の地・岐阜。
岐阜県岐阜市出屋敷という地区は
岐阜市北部に位置し、山々に囲まれた自然あふれる環境です。

百々染の一日は、草木や花の採集から始まります。
周辺には季節の訪れを告げる植物がたくさん生い茂り
葉や枝を採集したり、花を摘んだりして
百々染の原料にしているのです。

また、染めに欠かせない、澄んだ「水」もこの地の宝。

岐阜は、清流・長良川にいだかれた
水資源の豊かな土地ということも
ここで百々染を行っている理由のひとつです。

そんな、自然あふれる山あいの里で
百々染は誕生しているのです。

◎このまちで、かけがえのない存在として。

百々染を手がけているのは社
会福祉法人 いぶき福祉会「第二いぶき」で働く仲間たち。
彼らが採集した植物を、彼らの手によって染めています。

その光景は、単なる「作業」ではなく、
立派な「仕事」であり
彼らの個が発揮される「創作」
染め手の心があらわれる色
彼らの手つきひとつで変わる色が
同じものはふたつとない百々染の魅力です。

彼らの意思の中で染まってゆく色。
ひとりひとりの感性や個性が
たくさんの色となってあらわれるのです。

百々染の工房には
障害のある人もない人も
皆が活躍し認められる
新たな世界が広がっています。

「いぶき福祉会」が目指すのは
ひとりひとりが自分らしく輝ける居場所と
安心して暮らせる地域をつくっていくこと。

「私がいなければ」
「あなたにいてほしい」

そう素直に感じあえる人のつながりと
誰もが暮らしやすい街づくりをめざしています。

「自分に、誰かに、代役なんてない」

そんな当たり前のことを
百々染のやさしい色が教えてくれるのです。

百々染を自分だけの「仕事」として
誇りを持って働く仲間たち。

いぶき福祉会は、彼らがかけがえのない存在として輝いていく
そんな心地よい街づくりをしていきます。

この記事を書いた人

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いぶき福祉会

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とりちゃん やま