2024.11.20
小さな隣人祭りが大海原へ
- 執筆:
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平塚弥生
毎月が楽しみになりました
2023年9月から5回に渡って開催した小さな隣人祭りは、以下のように毎月開催されました。
第1回 パエリア
第2回 ピザ
第3回 芋煮
第4回 豚汁
第5回 カレー
パエリアの様子はこちらピザの様子は、こちら でご覧いただけます
全ての会をレポートするつもりでしたがやるやる詐欺ですみません!3回から5回をザッと振り返りますと…。
第3回は芋煮を作りました。
芋煮はもともと、東北の郷土料理で岐阜ではあまり馴染みがありません。
誰も食べたことがなければ個々のこだわりがない、正解がないのがいいですね。
ここで作られる味が、みんなで作る味になっていきます。
第4回は豚汁。スリランカ出身の女性、近所のおばあちゃんとお孫さん、他にも地域の人たちと次々といらっしゃいました。宗教上の理由で食べられないものがあるなど小さな隣人祭りを通して知ったことも多かったのです。
第5回は、みんな大好きなカレーを作りました。
ここでは、あさみさんがカレーを混ぜながら、カレーの歌を歌ってくれました。わたしも一緒に歌って、美味しい楽しい隣人祭りでした。
この5回に渡った隣人祭りですが、楽しかった、美味しかっただけでは終わってません。
小さな隣人祭りによって、料理が出来るようになったということではなく、いぶきの仲間にも、いぶきさんのスタッフにも、近隣のみなさんにも変化がありました。
食事を一緒に囲み、人と人の繋がりができていくというのは、多くの人が経験していることだと思います。懇親会やお花見、冠婚葬祭など家族や職場、学校でと一緒に食事を囲むことは当たり前とされています。でも、コロナ禍で人と食事を共に出来なくなったり、様々な制限を余儀なくされました。わたしたちは、緊急事態宣言で外出できない、誰かと食事をすることが出来ないとなった時、様々な困難があったのです。これまで見過ごしてきた、共に食べることが重要だと気づいた人も多いのではないでしょうか。
小さな隣人祭りも、地域の人、いぶきの仲間、スタッフが一緒に料理を作って食べることで、知らなかった一面やお互いを理解することができるのではないか、そして私たちはここにいる、共存していく地域の仲間として支え、支え会う関係になっていくことを目的としていました。
国際学会デビュー!
この小さな隣人祭りの一連の活動をまとめて、ICoME(国際教育メディア学会)で発表してきました。
聞いてくださったのは、中国、韓国、タイ、オーストラリアなどほとんどが海外の人です。
家族や職場の人たちと一緒に食事をするというのは、一部の宗教や民族を除いてどこの国でも行われている人間の本能でもある行為で、小さな隣人祭りでは、食べることだけでなく、準備や料理をするという一連を共食と捉え、料理に関わることが出来なくとも、個々の能力やサポートでできることを参加して、みんなで作ったという達成感を味わうことができます。
福祉施設という限られたコミュニティから、第三者が参加することでこれまでの固定概念を打破することができました。例えば、危ないからと使わせなかった、包丁も実は使ったことがあったり、包丁を使わなくとも道具を使うことで安全に参加することもできます。
調理する場所や食べる場所、料理の選定や工程もコミュニケーションに大きく影響するということも発表しました。
そして、実際の映像も見てもらいました。
YouTube(国際発表のため英語字幕です)
「自分の国でもやってみたい、どんな料理がいいだろうか」、「安全にサポートする方法はどうしたらいいか」という自分の国で実践する前提の質問の他に「とてもいいアイデアだ、誰もが共感できる優しいハートフルな活動だ」というお褒めの言葉もたくさんもらいました。
もともと、隣人祭りはフランスが発祥でポットラック(持ち寄り)方式で始まったものですが、それを海をわたり、日本の真ん中岐阜の地で準備をして、料理を作るそして食べるということでより、深いコミュニティが構築され、たくさんの学びがある小さな隣人祭りがまた海外へ渡って大きく羽ばたいて行きそうです。
そして、今年も小さな隣人祭りを開催することができます。さらにアップデートした内容になっていますので、楽しみにしていてくださいね。
いぶきからのコメント
平塚さんから「隣人祭り」のことを教えていただいた日が、ずいぶん遠い昔のような気がします。
すっかりいぶきの日常の風景になって、これからどんどんこの街の当たり前の風景になっていくような気がしています。
平塚さんのマジックで、仲間たちから楽しさが溢れ出てきて、僕たちも「こうじゃないといけない」という気持ちからすっと解放されて、なんだかとっても心地よい。
しかもそれがアカデミックに語られる。これからの展開にワクワクしています