救世主・カァ子ちゃん | つながり、価値を創るえんがわピープルの物語

救世主・カァ子ちゃん

執筆:

いぶきからのコメント

でかけることをためらったり、話し込んだりしてはいけないような気持ちになりそうな年月が流れる中で、いぶきは少しでも当たり前の日常を守り続けたいと思ってきました。いつでも開いていて、いつでもふらりと立ち寄ることができて。そう思いつつもできないことがあって、悔しい気持ちをたくさん味わってきました。高橋さんの周りでは、人だけではなくって自然の生き物たちもみんな肩肘張らずに、一緒にあたりまえの時間(とき)が流れているような気がして、そこに居たくなるんだなあと。そんな物語を、ありがとうございます。

“カワセミおばさん”から聞いた ちょっとイイお話。
これは 実際にあったお話です。

私のことを娘と かわいがってくれる
通称 “カワセミおばさん”。
この辺りでは ちょっとした有名人です。

“カワセミおばさん”と呼ばれる所以は、
飛ぶ宝石(翡翠)と呼ばれる、
美しい青い鳥『カワセミ』からきています。

私の雑貨店・フラマン 目の前を流れる荒田川。
ここにも あのカワセミがいるんです。

カワセミを愛し、愛される カワセミおばさん。
彼女がいるところに、カワセミがやってきます。

「カワちゃん、ババ来たよ。顔見せて。」

いつも呼びかけながら、歩きます。

お買い物をして戻ってくると、
カワちゃんが待ってくれてることもあるんですって。

そんなカワセミおばさんの体験談、
『救世主・カァ子ちゃん』のお話です。

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先月のこと。

普段から 八百万の神様に感謝し、
自然を愛でる カワセミおばさん。

その日も橋の上から、川を眺めていました。
鴨も白鷺も2羽ずつ、つがいでいるようで、
のどかな光景だなぁと。

ぼんやり見ているうちに、その光景が一変。
仲睦まじく見えた白鷺の一羽が、
もう一羽の上に乗って、激しく踏みつけはじめたのです。

はじめは、交尾してるのかと思ったのですが、
どうにも様子がちがいます。

ものすごい勢いで、一羽を水に沈めるように、
痛めつけているようでした。

その様子を見た 一羽のカラスが飛んで来て、
すぐそばの堤の際から 白鷺に向かって
「カァーカァー!!(やめなさい!!)」
と激しく鳴きました。

カワセミおばさんも、
「そうやよ!
あんた(白鷺)、ええ加減にしなさい!!
カァ子ちゃんの言う通りやよ!!」

カァ子ちゃんに続き 一喝。

そしたら、
いじめてた白鷺が 慌てて逃げて行きました。

いじめられてた白鷺は、
水中から1分くらい出てこず、
死んでしまったかと思いました。

その後ゆっくりと 水から出てきました。

すぐに カァ子ちゃんに向かって、
「グワァー(ありがとう!)」と。

勇敢なカァ子ちゃんが、
白鷺を救ってくれました。

カワセミおばさんも、
「カァ子ちゃん、ありがとね。
あんた偉かったねー。ホントにありがとう。」

数日後、カワセミおばさんが
いつものように川沿いを歩いていたら、

白鷺が
「グワァー!(こないだはありがとう)」
と、彼女にもお礼を言ってくれました。

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カワセミおばさんは、
ほぼ毎日 お店(フラマン)の扉を開けて、
「おねーちゃん!」と声をかけてくれます。

そこで おしゃべりがはじまります。

カワちゃんに何時何分に会ったこと、
15分にらみ合いしたこと、
オスがメスに得意げにエサをあげていたこと、

朝の下弦の月がキレイだったこと、
コンクリの橋からキノコが生えてること、
特大の虹が二重に出てること、

リサイクルショップで 良いモノ見つけたこと、
歯の講習会で褒められたこと、
バナナの皮でシミが取れること、

いろんな話をしてくれます。

あんたも カワちゃんにも話しかけると良いよと
言ってくれます。

とは言え、
おかあさんみたいに、大声はかけられず、
小声で呼びかけています。

今のところ、
新年のカワちゃんには 会えていません。

カワちゃんにも会いたいな。
私にとっても 身近にあることを気づかせてくれる
幸せの青い鳥です。

 

この記事を書いた人

救世主・カァ子ちゃん | つながり、価値を創る

高橋純子

たかはし じゅんこ
『雑貨・flamant(フラマン)店主。
フェアトレード商品を中心に、友産友消、地産地消を大切に、背景のわかる手仕事、安心安全でおいしいものなどを扱っています。
現代のよろずや&コミニュティの場でもあります。
作り手と使い手をつなぐ場であり、誰かのひとときの居場所にもなるとうれしい。
フェアトレードは、世界の多様な人々と自然が健康的に共生することを目指しています(私も)。
また “物々交換・ぐるり日和” のメンバーで、
お金じゃない世界を日々夢見ています。』 

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