新ショップ「ねこの約束 第2章」をはじめるワケ ─対話を重ねて、協働が生まれる場をつくる─ 【北川コラム Vol.4】 | つながり、価値を創るえんがわピープルの物語

新ショップ「ねこの約束 第2章」をはじめるワケ ─対話を重ねて、協働が生まれる場をつくる─ 【北川コラム Vol.4】

2024年7月に、社会福祉法人いぶき福祉会は30周年を迎えます。これを機に、25年前からいぶきを知る北川が、コラムをはじめてみようと思います。30周年を迎えるにあたってのおもいとは? つくりたい未来とは? 大切にしたい考え方とは? いろいろな角度から語っていきます。

第4回は、30周年の年に始めたかった「ねこの約束、第2章」についてお話しします。

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節目の年のクラウド・ファンディング:「ねこの約束 第2章」

今年1月から、僕たちは新たなクラウド・ファンディングに挑戦することにしました。30周年という節目の年に、どうしてもみんなで実施したいことがあったからです。

それは、ショップ「ねこの約束 第2章」。再び「ねこの約束」をオープンすることです。

ねこの約束」というのは、アンテナ・ショップの名前です。僕たちいぶき福祉会は、以前、岐阜駅ビルの中に店舗を持っていました。2011年4月6日がオープン日で、2年前の2022年3月28日、いったんクローズとなりました。

12年間にもわたり、多くの皆様に足を運んでいただき、応援していただいたお店でした。障害のある仲間にとっては、つくったお菓子などをショップに納品することも楽しかったことで、閉店のショックが大きかったようです。職員にとっても、地域社会とともにあるいぶき福祉会にとって、シンボルのような場所がなくなった思いがしたでしょう。駅に行くたびに寄ったのにね、という地域のお客様からの声も聞こえてきました。

ただ、考えていたいくつかの課題があり、コロナ禍であったことも荷担して、いったんお店を閉める決断をしました。ただ、同時に、「これは終わりではありません」とも、宣言しました。これまでの12年を第1章とするならば、必ず「第2章」をスタートする、と、当時ブログに記しました。

ねこの約束 閉店のお知らせ〜第2章へ向かいます | いぶきの小窓 (ibuki-komado.com)

駅ナカのショップはおしゃれ。しかし、課題も…

JR岐阜駅直結の駅ビル ACTIVE-Gにあったショップは好評で、たくさんの方々が買い物をしてくださいました。ただ、ここ数年はいくつかの課題を感じていました。

まず、岐阜の人は駅に行くことがあまりないんです。普段、市民は車やバスでの移動が多いので、電車を使いません。つまり、駅には行きません。通勤で駅を使うのは、多くは名古屋に行く人ですね。外から岐阜へ来た人には駅ナカはインパクトがあるのですが、市内に住んでいる人にとっては、実は駅ナカだと駐車しづらく、行く機会が少ない不便なところともいえます。

ですので、路面に車を乗り付けられて、すっとお店に入って、また車でさっと帰ることができる場所がいいという声もありました。そのほうが、仲間や親御さんや職員も、いつでも商品を手にすることができますよね。

また、駅ナカのショップは、少し手狭でした。商品を置くだけ、ただ販売するだけの場なら、それでもよかった。でも、僕たちは地域との対話や交流、そして色々な出会い、「関係づくり」を大事にしています。そのためには、もっと活動するスペースが必要でした。

たとえば、仲間や地域の人たちとともに体験ワークショップをしたり、イベントをしたり。また、マドレーヌなどを仲間が実際に作っている風景を多くの方に見ていただきたいと思っていましたが、ショップとは離れた場所でつくられていたので、実現できませんでした。

こういう点からすると、普段からのいぶきの営みが行われているコミュニティと、アイテムを購入いただく場所が分かれていたわけです。この2か所がもっと融合するといいなと考えていました。

いぶきの提供する「商品価値」とは何だろう?

いいもの、おいしいもの、かわいいものだということは、お店に並べる商品の価値としては、当たり前の前提条件です。これについては評価を多数いただいています。

ダルメイン世界マーマレードアワード2022で「金賞」「銀賞」W受賞!

しかし、それを超えた、いぶき福祉会のつくる商品価値はなんだろう、と考えてみると、商品の奥にある考え方の部分、これが僕たちのさらなる価値だと考えています。

たとえば、商品の母体としてのいぶき福祉会が行う地域づくりへの思いや良さ。生きづらさのある人たちが役割を担えるよう、未来社会をめざす姿勢。

こういう考えで活動をするいぶきに共鳴してくださった人が、その協力や関わり方のひとつとして、商品を手に取ったり、一緒に何かをやりたいと思ってくださるわけです。

コロナ禍では、駅に立ち寄る人の数は少なく、店舗での売り上げは落ちました。そんなときでも、ネットや直接の注文は維持できていたんです。コロナによって、かえって僕たちのお客様像が、くっきりと浮かび上がってきたと思っています。その人たちがなぜ購入してくださっていたかといえば、いぶきの活動自体とつながっている人たちだったからです。

だとしたら、単に商品を売る場所を持つことが重要なのではなく、いぶきの考え方や目指す社会の姿、そして僕らの活動そのものを伝え、共に協働できる空間を持つことが大事です。そこで今回、いぶきのコミュニティがすでに育まれている「日光町」に、場を設えることになりました。既存の事業所の一部を、改築します。

ガーデン、マルシェ、 共同学習。加わる新ショップは「協働が生まれる場」に

今回「ねこの約束」をつくる日光町の拠点は、すでに4年前から、いぶきの地域づくりが始まっているエリアです。4年前、古民家の入口に、コミュニティ・ガーデンをつくりました。地域の人が植物を介して集いおしゃべりする姿をイメージして、2年間整備しました。その後、ガーデン3年目に、月1回のマルシェを開催するようになりました。4年目には、マルシェだけではなく、2か月に1回、コープ岐阜さんと連携して、平和や防災をテーマに共同学習会を実施してきました。

この古民家には“えんがわ”があります。外と内のあいだである“えんがわ”のように、地域に開かれた場所にしようと、いろいろと活動を積み重ねてきました。ガーデンがあって、マルシェがあって、共同学習の場(コ・ラーニングの場)があって。そこに、今回、あらたに「ねこの約束」を加えようとしています。

ここは、単にモノを売るだけではなく、「関係づくりの場」にしようとしています。ネットショップで買い物をしてくださったり、商品を取り次ぎしてくださったりするところも最近では増えています。こういう人たちがリアルで商品に触れられたり、おしゃべりができたりという場所を、ここに具体化していきます。「さまざまな新しい協働が生まれる場を開く」という感覚で、空間をつくろうとしています。

ここから、みんなで対話を重ねて、「場」をつくっていこう

駅ナカ時代のショップは、かわいくてしゃれていると言われていました。ただ、モールの中なので、モール運営のルールが決められていました。今度は、自分たちの場でできるので、こうでないといけないというルールはありません。自由度はうんとあがります。自由なやり方をみんなに考えてほしいし、みんなで一緒に考えてつくっていきましょう。

最初は、最低限の空間でいい。そこに、今まで「ねこの約束」が好きだった人、かりんとう好きな人、お庭づくりしていた人、子供たち、地域の人…。みなさんが関わって、新しい「ねこの約束」をつくる過程から、参加していただくのがいいと思っています。

クラファンが始まって、いろいろなサポートの声をすでにいただいています。

うちの店にチラシをおこうか? 飲み会をやるけど、そこで説明してみますか? とか、お金ではなくモノを提供するのはだめですか? などなど、それぞれの皆さんが関われる形で、サポートを申し出てくださっています。可能性は無限大ですね。

今回のクラファンの締め切りは、4月6日。14年前のこの日に、岐阜駅でショップをオープンしました。今年のゴールデン・ウィーク後には、新しい「ねこの約束」を完成させる予定です。応援・連携、どうぞよろしくお願いいたします。

いよいよ、「第2章」のはじまりです。

 

◆いぶき福祉会のクラウド・ファンディングはこちら
岐阜|小さなお店「ねこの約束」をもう一度!日光町の家リノベプロジェクト

*仲間とは: いぶき福祉会では利用者の方々を「仲間」と呼んでいます。詳しくは【北川コラムVol.1】へ。


【アーカイブ】

北川コラムVol.1 1995年。いぶきのはじまり、僕の節目
北川コラムVol.2 「対話し、協働できる社会」をつくる30周年記念事業を
北川コラムVol.3 「いぶき ふれあいまつり」が、コロナ禍を経て地域といぶきに残したもの
北川コラムVol.4 新ショップ「ねこの約束 第2章」をはじめるワケ ─対話を重ねて、協働が生まれる場をつくる─ (現在の記事)

 

この記事を書いた人

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北川雄史

きたがわ ゆうじ
社会福祉法人いぶき福祉会 法人本部 専務理事
協働責任者/社会福祉士/インターミディエイター

1969年京都市生まれ。高校までを神戸ですごし、1997年に社会福祉法人いぶき福祉会に入職。それ以来岐阜で暮らしています。
「ものづくり(作って売る)」から「関係づくりの先に仕事と収益がうまれる」ことへの転換とそのモデルづくりに取り組んでいます。
障害のある人との日々の営みを、新しい価値観にもとづく協働社会の幸せのひとつの形として物語り、ソーシャル・キャピタルの醸成と誰もが支え合いながら人間らしく生きられるケアリング・ソサエティの実現を目指しています。

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